2017年11月11日 荻塾開催レポート

1996年の小選挙区制導入から政権交代可能な政治を我が国が明確に目指し、2009年に一つの果実が現れたと言えます。しかしながら3年3か月で民主党政権が倒れた後は、約5年もの長きにわたり自民党一強時代が続いています。この間、2回の衆院選が実施されましたが、2つとも自民党の圧勝に終わっています。

この状況で、政権交代可能な政治を実現するためには、二大政党を目指すならば何を整理すべきか、多党制を目指すなら何をすべきかを考えてみました。

二大政党ならば、保守もリベラルも各政党(野党)のイデオロギー上の整理を免れないこと、多党制ならば、「中道」という言葉を免罪符に使うことなく、明確な中道政策の域を確保する必要があること、などです。

また、今後の政党政治を語るには、これまでの政党の離合集散を振り返る必要もあります。特に2009年に歴史的な政権交代を果たした民主党がなぜ消滅し、後継である民進党衆院もなぜ一夜で離散したのかを、荻塾なりに大きく4点指摘させて頂きました。

最も重点的に挙げた一つは、政治的良心の喪失です。基準は曖昧にせよ、人間として粗末にしてはならない一線というものがあります。民主党は政権を獲得した後、多くの一線を超えたのだと思います。国民はそれを直感し、民主党に支持が戻ることはなかったのだと思います。民進党もそのダメージを克服することが出来なかった。現存する野党政治家は、これまでの“不良債権”をどのように整理し、どのように国民の期待を集めていくかが問われます。

参加者のお一人から「今の政治家が何をしようとしているのかビジョンが見えない」とのご意見を頂きました。課題はこの言葉に集約されると思います。その場しのぎの対応では何事も続きません。国民の信頼を得るには、時間も空間も超える確かな理念が必要であることは、古今東西変わりのないことだと思います。

次回第8回荻塾は、2018年1月20日(土)午前10時~ 横浜市開港記念会館にて予定しております。

皆様のご来塾を心よりお待ち申し上げております。

荻原隆宏

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