2017年8月29日 荻塾開催レポート

草の根の政治哲学その1 「私心なき政治を求めて」

過労死やいじめによる自殺、増加する心の病気に焦点が集まる現代社会にあって、通常の生活のなかで生命の危機を覚える程に疲弊が生じている要因とは一体何だろうか。

第6回荻塾は、本来人間社会は個人の力では支え切れないものであるのに、個人の責任(自己責任)を厳格過剰に追及し、人間らしいゆとりある豊かで穏やかな生活を送るにしては、精神的にも物質的にも、あまりに激しい消耗を要請される状況があるのではないか、との観点から出発し、いわゆる政治哲学の領域においてどのような議論が可能なのかについて、草の根のレベルでのお話を共有しました。

自己責任追及の過剰な繁殖を許している条件として、社会のルール作りに責任を負う政治において、人間らしい暮らしを創出するための善や正義などの基準を定めるにあたり、選挙や党内政争に勝利する目的を達成し得る対策としての項目が重視され、いわゆる勝利によっても敗北によっても、あるいは時代状況やいかなる政治的権威によっても毀損されない厳粛な普遍的合理としての善や正義が、不当に捨て置かれてネグレクトされている状況が日本社会にあるのではないか。

志とよく言われる「政治的動機」から、合理的推論による「政策的判断」と、必ずしも合理的推論に束縛されない「政治的判断」とを通じ、最終的に様々な自然・偶発的事象を含みつつ生み出される「政治的結果」という一連の政治の回路において、「政治哲学」という領域に、私達はどのような働きを期待できるのでしょうか。

荻塾は、引き続き、人間らしい暮らしを実現する現代政治にあるべき「哲学」の探求を続けながら、具体的な政策的取組について、草の根のレベルで、皆様と共有して参りたいと思います。

荻原隆宏

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